Aaveの預かり資産(TVL)は8月19日時点で180.5億ドルまで拡大した。ネイティブトークンも同じ24時間でおよそ25%の急伸を見せている。この節目により、AaveはDeFiのレンディング分野で再びトップ級の位置に戻ってきた形だが、取引フローを詳しく見ると、この上昇局面は見出しの数字が示すほど一枚岩ではないことが分かる。
プロトコルは8月中、推定5万270ドル相当のユーザーインセンティブを生み出しており、現物市場がより慎重な様相を見せる中でも、預け入れ活動自体は着実に続いていることがうかがえる。ただし、TVLが膨らんだのと同じ24時間の間に、Aaveは340万ドルの現物ネット流出を記録している。一部の保有者がポジションを積み増すのではなく、利益を確定させている表れだ。
取引所のトレーダーは強気、市場全体は慎重
デリバティブのデータを見ると、大手取引所のデスクと市場全体との間に温度差があることが分かる。BinanceにおけるAAVEのロング・ショート比率は1.46、OKXでは1.15と、いずれもロング優勢の水準にある。BinanceとOKXを合わせた運用資産は約5248.5億ドルに達し、うちBinance単独で3619.5億ドルを占めるだけに、両者のポジショニングは相応の重みを持つ。
しかし市場全体を見渡すと、話はやや違ってくる。取引所全体を通じた合算のロング・ショート比率は1.0を下回り、売り方が優勢な状況だ。建玉加重の資金調達率はわずかにプラスの0.0220%で、ロング側がショート側に手数料を払ってポジションを維持している状態を示してはいるものの、そのプレミアムはごくわずかで、センチメントが変われば簡単に逆転しかねない水準にとどまっている。
DeFiレンディング全体の背景
Aaveが預かり資産180億ドル台への回復を果たした背景には、プロトコルにとって浮き沈みの激しかった1年がある。DefiLlamaのデータによれば、AaveのTVLは2025年末に400億ドル超でピークを付けた後、2026年3月までにほぼ半減し、その後2月に累計融資額1兆ドルを突破するというDeFiプラットフォームとして初の節目を経ながら、春にかけて回復してきた。この乱高下は、レンディングのTVLがトークン価格や市場全体のリスク選好にいかに敏感かを物語っている。ポジション数自体が横ばいであっても、ETHやAAVE建ての預け入れ額はドル換算で大きく振れるためだ。
Aaveは依然として、SparkやMorpho Blue、Compound V3といった競合をはるかに引き離す最大のレンディングプロトコルであり、そのライバルたちの預かり資産はAaveのごく一部にとどまる。この規模の大きさゆえに、AaveはDeFi全体の健全性を測る指標に対しても突出した影響力を持っており、強気なデリバティブポジショニングと慎重な現物フローという相反するシグナルを、トレーダーたちが今これほど注意深く読み解こうとしている理由の一端もそこにある。
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この食い違いがAAVE保有者に意味すること
このTVLの節目を迎えた時点で、暗号資産市場全体の稼働銘柄数は18,618、総時価総額は2.626兆ドル、ビットコインドミナンスは58.88%だった。市場全体に広がるこのリスクオン的な地合いが、AaveのTVL増加を後押しした一因とみられる。ただし同じ24時間で総時価総額は19.4億ドル減少しており、上昇が全銘柄に一様に広がっていたわけではないことも示している。
Aaveに限って言えば、預け入れの増加、プラスの資金調達率、そして現物のネット売りという組み合わせは、短期保有者が利益を確定させる一方で、より大口で洗練されたプレイヤーの間では確信が強まりつつある市場を示唆している。3日間・5日間の現物ネットフローデータはこの期間を通じてマイナスが続いたと伝えられており、一部のトレーダーはこれを弱気シグナルではなく、水面下での静かな積み増しと読んでいる。とはいえ、市場全体では依然として売り手が買い手を上回っており、この流れが持続的なトレンドとして確認されるかどうかは、今後数日で現物フローがプラスに転じるかどうかにかかっていそうだ。