米議会の夏季休会を前に、CLARITY法案の審議時間が刻々と減っている。米国の暗号資産政策を左右する立場にある二人の人物が今週、法案が期限内に成立しなかった場合に何が起きるかについて、それぞれの立場を鮮明にした。2026年8月1日、a16z cryptoを率いるクリス・ディクソン氏は、米国には今なお暗号資産に関する明確な連邦規制の枠組みが存在しないと指摘した。ディクソン氏によれば、この空白こそがFTX破綻のような事態を招く土壌になっている。カストディや取引所運営に関する明確なルールが定まっていなかったために、リスクがほとんど監視されないまま積み上がり、最終的に破綻に至ったというのがその見立てだ。
その数日後、規制当局側からはCFTC委員長のマイク・セリグ氏が発言した。CLARITY法案が成立しなかったとしても、CFTCとして暗号資産の規則制定を進めていく方針だという。セリグ氏は7月の時点で、議会が包括的な法整備をまとめきれなければ、結局は規制当局側が「すべてのルールを書く」ことになると警告していた。今回の発言は、CFTCがその展開を座して待つつもりはないことを示している。
法案は今どこにあるのか
CLARITY法案、正式名称「デジタル資産市場明確化法」は、デジタル資産の監督権限をSECとCFTCに分割し、取引所やトークン発行者、一部のDeFiプラットフォームに関するルールを定めるものだ。下院はすでに可決しており、上院銀行委員会も5月の公式マークアップで15対9の賛成多数で可決させている。ところが8月上旬時点で、本会議採決の日程は依然として決まっておらず、6月1日から採決可能な状態にあるにもかかわらず、討論終結動議すら提出されていない。不正資金対策や農業関連の条項、さらに政府高官が暗号資産業界から利益を得ることを防ぐ倫理規定なども、まだ決着がついていない。今回の会期を逃せば、包括的な市場構造法制は次の議会に持ち越されることになり、現実的な成立時期は早くても2027年半ばまで後ずれする。
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異なる道筋、同じ着地点
ディクソン氏とセリグ氏の主張は、アプローチこそ違えど行き着く先は同じだと言える。ディクソン氏は、今の規制の空白がFTXのような破綻を再び招きかねないとして議会の行動を求めている。一方のセリグ氏は、議会が動かないのであればCFTCが単独でその空白を埋める用意があるとにじませている。業界にとっては、議会による法的裏付けを欠いたCFTC主導の規則制定は、恒久的な法律に比べて対象範囲が狭く、将来の政権交代によって覆されやすいものになる可能性が高い。つまりCLARITY法案が今年中に成立するか、2027年にずれ込むかという違いは、単なる手続き上の遅れ以上に実務面での影響が大きいということになる。