6週間にわたって続いていたビットコインの取引所からの流出が、急激に反転した。オンチェーン分析企業Santimentによると、2026年8月の最初の3週間だけで2万8000BTCが取引所ウォレットへ戻ってきたという。この流入は、6月12日から7月28日にかけて取引所から流出していた資金の84%を打ち消す規模だ。この間、取引所残高はピークの133万7000BTCから130万4000BTCまで落ち込んでいた。8月16日時点では取引所準備高は133万2000BTCまで回復し、6月の高値からわずか5,200BTC低い水準まで戻している。

この反転が重要なのは、取引所残高が近い将来の売り圧力を測る代表的な指標の一つとして注目されているからだ。取引所へ資金が流入する動きは一般に、売却に向けたポジション調整と解釈される一方、取引所からコールドストレージやカストディへ資金が流出する動きは、長期保有に腰を据えたホルダーによる強気シグナルとして読まれる。構築に6週間かかったものを、わずか3週間で打ち消してしまった今回の反転の速さは、オンチェーンアナリストたちの注目を集めている。

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データが示すもの、示さないもの

このデータが対象とする期間を通じ、ビットコインは6万3500ドル付近でのもみ合いを続けてきた。Santiment自身は、週次マーケットサマリーの中で、今回の取引所への流入を機関投資家による売りの証拠と読むことには慎重な姿勢を示している。新規のビットコインETF発行分は公開の取引所アドレスとは切り離されて動いており、機関投資家は通常、公開の取引所オーダーブックではなく、マイナーや大口保有者からOTC(相対取引)デスクを通じて直接コインを調達するためだという。この点を踏まえると、8月の流入をもたらした主体としては、個人投資家や中規模のホルダーの方が可能性が高いことになる。

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既視感はあるが、確実性は乏しいシグナル

Santimentの解釈は、今回の動きの多くが、マクロ経済の不透明感やFRBの今後の発表を控えたヘッジとして、トレーダーたちが流動性を組み替えている結果だというものだ。同社はこの動きを「売り局面へのクッション」を築く行動だと表現している。取引所準備高のこうしたダイナミクスは、これまでも大きな相場の動きに先行してきた例がある。アナリストたちは2020年第3四半期や2022年第4四半期の上昇相場に先立つ似た構図を、参考になる過去の類似例として挙げている。もっとも、過去のパターンが繰り返される保証はない。現時点でのSantiment自身のスタンスは強気というより慎重で、供給不足を背景にした価格急騰への期待は「短期的な力関係が完全に売り手優位へと傾いたことで、いったん棚上げになっている」と指摘している。この傾きが一時的なものにとどまるのか、それともホルダーの行動パターンのより長期的な変化を示すものなのかは、今後数週間のマクロ環境、とりわけFRBの政策運営次第という面が大きいだろう。