Ondo Financeの故創業者Nathan Allman氏の母親であるKathleen Allman氏が、デラウェア州衡平法裁判所にIan De Bode氏の最高経営責任者(CEO)解任と、自らの経営権確立を求める訴訟を起こした。7月24日付で提出された訴状は、5月下旬にNathan Allman氏が32歳で急逝した後、De Bode氏がトークン化事業を主軸とするこのDeFi企業の経営権を違法に掌握したと主張している。
訴状によれば、Nathan Allman氏は死去当時、Ondo Financeの過半数を握る支配株主であり、その議決権は法的に同氏の遺産財団へ承継されるはずだったという。Kathleen Allman氏は、長年同社の社長を務めてきたDe Bode氏が、検認手続きが完了する前に会社定款に基づき自動的にCEOに就任したと不当に主張し、議決権契約を通じて自らを唯一の取締役として選任したうえで、外部アドバイザーの起用や業績連動報酬の承認、新たな取締役の追加選任の試みなど、単独での企業活動を進めていったと訴えている。
取締役会での逆転劇
提訴と同じ7月24日、Kathleen Allman氏とTowillと特定される当事者が、De Bode氏を役員・従業員・コンサルタントの地位から解任する議決を行い、代わってKathleen Allman氏が会長、CEO、秘書役、財務担当に就任した。これに対しDe Bode氏は公にThe Blockの取材へ反論し、訴えの内容は「根拠がない」と述べたうえで、会社は依然として主要投資家やその他のステークホルダー、そしてプロトコルに関連する非営利団体Ondo Foundationの支持を得ていると説明している。
大手トークン化プレイヤーにとっての重み
Ondo Financeは、米国債をはじめとする伝統的な金融商品をオンチェーンでトークン化した形で提供する事業を通じて、実物資産トークン化分野を代表する企業としての地位を築いてきた。デラウェア州の法廷で長期化しかねない経営権争いは、規制対応と機関投資家対応を重視するトークン化金融という特殊な分野で事業を展開する同社にとって、不確実性を生む要因となる。この分野では、ガバナンスと経営の安定性に対する信頼が、パートナーや投資家にとって他分野以上に重要な意味を持つためだ。争いが単なる経営陣同士の対立にとどまるのか、それとも事業運営そのものへ波及するのか、また今後どれほど早く決着がつくのかによって、取引先やトークン保有者がプロトコルの安定性をどう見るかが、今後数カ月の間で左右されることになりそうだ。