運用資産1.9兆ドルを抱えるボルティモア拠点の資産運用大手T・ロウ・プライスが、多くの機関投資家が手を出したがらない領域に踏み込んだ。規制対象の上場投資信託(ETF)の中に、ミームコインへのエクスポージャーを組み入れたのだ。同社のActive Crypto ETF(ティッカー:TKNZ)は7月に業界初の複数銘柄アクティブ運用型暗号資産現物ファンドとして立ち上がり、現在ポートフォリオの1.26%をドージコインが占めるほか、ビットコインとイーサリアムを合わせて約60%、さらに小規模ながらバイナンスコインへの配分も含まれている。
T・ロウ・プライスでデジタル資産部門を率い、同ファンドの運用責任者を務めるブルー・マセラリ氏は、実績あるトークンを原則論だけで除外してしまえば、アクティブ運用型ファンドという枠組みそのものの意義が損なわれてしまうと述べた。「本当の意味でのアクティブ運用がしたかった」とマセラリ氏は語る。「原則にこだわって『知的にお高くとまる』つもりはない。もしミームコインが値上がりしたら、うちの投資家にもその恩恵を受けてもらいたい」
笑い話ではなく、ストレステストとして
マセラリ氏がドージコインを組み入れる根拠は、値動きの勢いよりもむしろ、ミームコインの取引がその裏にあるネットワークについて何を明らかにするかという点に置かれている。「ミームコインブームを経験したチェーンを見るとき、それはネットワークが本当に高い取引量に耐えられるかどうかを確かめる、もっとも実践的なストレステストに近い」と同氏は述べ、ミームコインが生み出す個人投資家の急激な活動の高まりが、ブロックチェーンが実際に大量のトランザクションを破綻せずにさばけるかどうかをあぶり出すのだと説明した。「1億ドルのステーブルコインを送るのにコスト効率が良くなければならないのと同時に、3ドルを送るのにもコスト効率が良くなければならない」
この見立ては、ドージコインとSECの審査がまだ続いている新興の投機的トークン群との間に一線を引くものでもある。大型ミームコインの中には、取引所からの注目を持続的な価格回復につなげられずに苦戦してきた銘柄もある。マセラリ氏がTKNZの現時点でのミームコイン組み入れについて、「何年も存在し、時価総額で見て暗号資産の中でも最大級の銘柄」に限られると繰り返し強調していたのは、こうした背景があるからだ。
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銘柄選定の判断力に賭ける
TKNZの銘柄選定手法は、検討するすべてのトークンに三層構造のフレームワークを適用する。基盤となるブロックチェーン技術とトークンエコノミクス、その上に構築されたエコシステムの健全性、そして市場のモメンタムだ。T・ロウ・プライスは2027年5月まで0.75%の運用報酬を免除しており、これは新規に立ち上がったアクティブ型ETFが、より安価なパッシブ運用商品を相手に初期資金流入を競う際によく見られるインセンティブ設計だ。
同様の方向に動く資産運用会社は他にもある。Canary Capitalは4月にPepeを対象とした専用の現物ETFを申請しており、SECは2026年末ごろまでに判断を下す見通しだ。一方、T・ロウ・プライスの複数銘柄構造に対する規制当局の承認は、Shiba Inuが同様の仕組みを通じて初めて規制対象の米国ETFエクスポージャーを獲得する道もすでに開いている。マセラリ氏は、規制の先行きが明確になるにつれて暗号資産ETF市場が大型株・小型株・セクター特化型へと細分化していくと見ており、「暗号資産においては、他のどの資産クラスよりも優れた判断力と意思決定力、そしてアクティブ運用こそが重要になると考えている」と述べた。
ミームコインが本格的なポートフォリオに入り込み続ける理由
T・ロウ・プライスが踏み込んだこの議論自体は目新しいものではないが、同社の規模はニッチな暗号資産ネイティブファンドにはない重みを持つ。1.9兆ドル規模の運用会社がドージコインを保有するという選択は、たとえ1.26%という控えめな比率であっても、小規模ファンドが同じことをするのとは異なるシグナルとなる。SECが単一銘柄のミームコインETF申請の審査を進める中、この流れが円滑に処理されるのか、それとも滞るのかによって、他の伝統的な運用会社がどれだけT・ロウ・プライスに追随してミームコインへのエクスポージャーを取るかが左右されそうだ。