Zcashは現在509ドル付近で取引されている。短期の移動平均線が495ドル前後で収束したのち長期平均線を上抜け、チャート分析でいうところの「ゴールデンクロス」が形成された。一般的に中期的なモメンタム改善のサインとされる形だ。より値動きの速い緑・青の移動平均線はそれぞれ495.87ドルと494.48ドルに位置し、動きの遅いオレンジ・黒の移動平均線(472.49ドルと426.49ドル)を上抜いている。

この形状は、現在価格のすぐ下、494〜496ドル付近に主要なサポート帯を作り出している。ここ数週間続いた460〜480ドルのレンジ相場からの脱却を示唆する動きだ。レジスタンスはまず520〜525ドル帯にあり、過去にもこの水準で上値が抑えられてきた。ここを突破できれば、8月の高値圏である550〜575ドルへの道が開ける可能性がある。

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モメンタム指標は追い風だが、まだ決定打とまでは言えない。RSI(相対力指数)は中立水準の50をわずかに上回る54.5前後で推移しており、過熱感が意識されるまでにはまだ余地がある。より大きな懸念材料は出来高だ。5月・6月の急騰局面で見られた水準を大きく下回ったままで、買い需要が戻るまではブレイクアウトのシグナルに対する信頼感が弱まりやすい要因となっている。

4年越しの上昇相場

今回の展開は、プライバシーコイン業界の歴史でも屈指の劇的な上昇相場を経た後に訪れている。ZECは2024年初めの約20ドルから2026年5月9日には642.18ドルの高値をつけ、650〜1,000%という値上がりを記録した。この過程でMoneroを抜き、時価総額で最大のプライバシーコインに躍り出た経緯がある。現在の509ドル付近までの調整は、根底にある強気シナリオの崩壊というより、急騰後によく見られる通常の利益確定売りに近いとみられる。とりわけ、その後に続いた機関投資家関連の動きを踏まえればなおさらだ。

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値動きを後押しする機関投資家要因

価格動向と並行して、規制と機関投資家の両面で追い風が積み重なっている。5月に提出されたGrayscaleによるSECへのフォームS-3申請は、既存のZcash Trustをティッカー「ZCSH」としてNYSE Arcaに上場するスポットETFへ転換することを目指すもので、プライバシー特化型暗号資産としては米国初のスポットETF挑戦となる。この申請に先立ち、SECは1月、Zcash Foundationに対する2年近くに及ぶ調査を法執行措置なしで打ち切っており、長年機関投資家の資金を様子見に追いやってきた規制上の懸念が取り除かれていた。

トレーディング企業のMulticoin Capitalも、2月以降段階的に積み上げてきたZECのポジションを公表しており、秘匿性を備えた金融をオンチェーン市場にとって不可欠なインフラとみなしていると説明している。ゴールデンクロスが持続的なブレイクアウトにつながるかどうかは、出来高がこのテクニカルシグナルに追いつくかどうかに左右されそうだが、前例のないETF申請と規制リスクの解消が重なった今回のセットアップは、通常のチャートパターン以上に機関投資家の後ろ盾を伴っていると言える。