Circleは、Coinbase上でのUSDCの取り扱いについて、既存の条件のままパートナーシップを更新した。Coinbaseの製品ラインナップ全体でUSDCが中心的な役割を担う構図を維持しつつ、Circleは他社との個別の販売提携も引き続き模索していく方針だ。今回の更新で注目されるのは、両社の間で協議されていたとされる四半期払いへの構造変更が見送られた点だ。
Coinbaseとの関係は、長らくUSDCにとって最も重要な販売チャネルの一つであり続けてきた。Coinbaseはこれまで、自社プラットフォーム上でのステーブルコイン普及を後押しする見返りとして、USDCが生み出す準備金収益の一部を受け取ってきた経緯がある。支払いスケジュールを組み替えるのではなく既存の取り決めを維持するという選択は、時価総額で2位のステーブルコインとしてのUSDCの地位を支えてきたこの取り決めについて、両社とも再交渉より継続の方に価値を見出していることを示唆している。
支払い構造が重要な理由
四半期払いへの変更は、Coinbaseがこの提携から得る収益をどのタイミングで認識するかという点に影響を与えるものだった。これは日々USDCを利用する一般ユーザーというより、Coinbaseの財務をモデル化する投資家やアナリストにとって重みを持つ論点だ。この変更を見送ったことは、Circleがこの商業関係を予測可能な形に保ちたいという意思の表れといえる。特にCircleは新規上場企業として、自らも四半期ごとの報告に対する監視の目が強まる中で事業を積み上げている最中だ。
関連記事: 議会休会前にCLARITY法案が停滞、a16zとCFTC委員長が規制の空白に警鐘
Circleの販売戦略の広がり
今回の更新は、Circleが単一の取引所への依存を減らそうと、USDCの販売網を積極的に多角化している最中に行われた。他プラットフォームへの提携拡大を通じてステーブルコインのリーチを広げようとする動きだ。この多角化は競争上の意味も大きい。ライバルのステーブルコイン発行体各社は、より手厚いレベニューシェア条件を提示して取引所やプラットフォームを積極的に取り込もうとしている。その中で、USDCにとって最も確立された販売パートナーであるCoinbaseを安定した条件でつなぎ止めておくことは、Circleが他所での交渉を進める上での確かな足場になる。
USDCの立ち位置が示すもの
発行体が背後にある準備金と同じくらい販売提携の巧拙で競い合うようになりつつあるステーブルコイン市場において、条件を組み替えるのではなく素直に更新を選んだという事実は、CircleとCoinbaseの関係が、どちらの側もあえて揺るがしたくないほど双方にとって価値あるものであり続けていることを物語る。次の焦点は、Circleが他の販売パートナーと並行して進める取り組みが、USDCの裾野を意味のある形で広げられるかどうか、それとも他にどれだけ提携を積み重ねても、Coinbaseがステーブルコインの流通において不釣り合いなほど中心的な存在であり続けるのかという点にある。