マラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)は8月4日、ビットコイン建てで新たに6億ドルの融資を実行した。担保として差し入れたのは18,750BTC、時価にしておよそ12億ドル相当にのぼる。取引の詳細を伝えた報道によると、資金調達はCoinbase CreditとTwo Prime Lendingの2社に分かれており、Coinbase側は新規3億ドルの融資に加え、既存与信枠1億5000万ドルの借り換えを行い、合計4億5000万ドルの融資枠を組成した。残る3億ドルはTwo Prime Lendingが単独で提供している。
2つの融資は構造が異なる。Coinbase分は変動金利で、FRBの誘導目標レンジの中央値に3.875ポイントを上乗せした水準に連動し、現時点でおよそ7.5%、満期は2028年8月4日で1年間の自動延長オプションが付く。Two Prime分は固定金利7.65%で、満期はその前日にあたる2028年8月3日だ。両者を合わせると、MARAの年間の利払い負担はおよそ5670万ドルに達する見込みだ。
保有量の半分超を担保に
今回の担保差し入れは、MARAが保有するビットコインの規模から見ても大きな比重を占める。担保として提供された18,750BTCは、同社が2026年6月30日時点で保有していた35,577BTCの半分以上に相当する。貸し手側は融資元本合計の1.6倍相当の担保価値を求めており、ビットコイン価格がこの水準を割り込むほど下落すれば、MARAは追加の担保を差し入れるか、さもなければ差し入れ済みの担保をそのまま清算されるリスクにさらされる。
AI・エネルギー事業への布石
調達した資金は一般的な事業資金に加え、MARAが計画する総額15億ドル規模のLong Ridge Energy & Power買収を一部賄う用途に充てられる。買収対象はオハイオ州にある出力505メガワットの発電所で、同社は発電、ビットコインマイニング、そしてAI・高性能コンピューティング向けインフラを組み合わせた形での開発を目指している。この動きは、MARAの財務内容にすでに表れている大きな方針転換とも符合する。同社のビットコイン保有量は2026年上半期に34%減少して3万6000BTCを下回っており、単純にコインを積み増すのではなく、財務基盤をインフラ拡張の原資として活用する姿勢を強めている。
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ビットコイン価格に社運を賭ける構図
保有するビットコインの半分以上を融資の担保に差し入れるというのは、BTC価格が1.6倍の維持率を満たす水準を十分に上回り続けるという、かなり踏み込んだ賭けでもある。これは他のビットコイン重視の財務戦略を取る企業もすでに採用してきた手法であり、相場が上昇ないし横ばいで推移する局面ではきれいに機能する。しかし急落局面で最悪のタイミングにマージンコールを迫られるリスクも同時に抱えることになり、失敗が許される余地は小さい。