エヌビディアが主要顧客に対し、2027年初頭に出荷するシステムについてAIサーバー価格が15%超上昇する見込みだと伝えている。この値上げの要因はGPU自体ではなく、逼迫するメモリチップの争奪戦にある。今回の値上げは、エヌビディアが四半期決算を発表するわずか3日前というタイミングで明るみに出た。ウォール街がこの1週間、AIインフラ拡大の中心にいる企業にしては異例に割安だと評してきた同社株に、新たな変数を加える形だ。
Bull Theoryがこの報道を取り上げ、値上げの要因はメモリチップコストの急騰にあり、エヌビディアの主力アーキテクチャであるVera RubinとGrace Blackwellを採用し2027年初頭に出荷されるシステムが対象になると指摘している。The Kobeissi Letterは、値上げが両チップファミリーに及ぶこと、最終的な価格は構成によって異なることを補足した。この値上げを最初に報じたブルームバーグによれば、マイクロソフト、グーグル、オラクルといったハイパースケーラー向けに契約ベースでサーバーを製造する企業はすでに自社の顧客に通知済みで、Blackwell採用のNVL72 GB200ラックは280万~340万ドル、Vera Rubinシステムについては1台あたり500万~700万ドルという初期の問い合わせ価格が示されているという。
ボトルネックは演算能力ではなくメモリ
今回の値上げの要因は、エヌビディア自社製半導体の不足ではない。サムスン、SKハイニックス、マイクロンが供給するDRAMや高帯域幅メモリは、AIサーバーの部品コストの中でも単独では最大級の項目の一つとなっており、この3社すべてで供給不足が生じたことで、2026年を通じてコストが急上昇してきた。この構図により、今回の値上げの影響はエヌビディア自身の利益率だけでなく、同社のハードウェアの上にAIインフラを構築するあらゆる企業に波及することになる。
大型決算を控え割安感が意識される株価
Coin Bureauの指摘によれば、時価総額5兆2,800億ドルの同社は、中国向けデータセンター売上を除いた四半期売上高として910億ドルの見通しを示した上で、水曜日の決算発表を過去5年で最も割安な評価倍率のまま迎えることになるという。独立系データもこの見方を裏付けている。エヌビディアの株価は過去実績利益ベースで約31倍、予想利益ベースで約23倍と、この5年間で見られなかった水準まで低下しており、過去10年平均を約41%下回っている。それでいて前四半期の四半期売上高は816億ドルと過去最高を記録した。
関連記事: ブラックロック、48時間でビットコイン・イーサリアムを11.7億ドル購入
この二つのデータを重ね合わせると、成長力に対して株価の評価倍率は縮小しているものの、顧客に対する価格決定力自体は健在な企業の姿が浮かび上がる。投資家は水曜日の決算発表で、この矛盾をどう説明する見通しが示されるかを注視するだろう。メモリ主導のコスト圧力を、利益率を守れるだけきれいに価格転嫁できているのか、そしてオープンウェイトモデルや中国製AIモデルとの競争が激化する中でも、上昇する定価を吸収できるだけBlackwellやVera Rubinシステムへの需要が強いのか、という点だ。
暗号資産トレーダーも注視する理由
エヌビディアの決算は、暗号資産を含む幅広いリスク資産にとって事実上のマクロイベントと化している。2026年の大半を通じて、ビットコインがナスダックと極めて連動して動いてきたためだ。5年ぶりの低評価倍率で決算を迎える株価と、AIインフラコストが依然として上昇しているという確認材料が組み合わさることで、水曜日の決算発表は半導体投資家にとどまらず、リスク選好全体を左右する材料となりそうだ。