暗号資産を巡る政策が今週、三つの前線で同時に動いた。SECが暗号資産専用の規則案を初めて正式に提出し、CFTCは初のイノベーション諮問委員会を発足させた。そして長らく停滞していた上院のCLARITY法は、9月15日の手続き投票を控え、暗号資産業界と銀行ロビーとの間で公然とした対立の様相を強めている。
Bull Theoryは今週を転換点だと総括している。トランプ大統領はホワイトハウスで暗号資産業界の経営陣と面会し、政権としてビットコインなど暗号資産を大量に購入することを検討していると述べた。同じ週にSECは史上初となる暗号資産専用の規則案を提出し、CFTCはイノベーション諮問委員会の初会合を開いた。SEC自身の発表では、「レギュレーション・クリプト・アセッツ」と題するこの規則案が、暗号資産の投資契約に適した枠組みを構築することを目的としており、ビットコインやイーサリアムのような資産を証券法の対象外として扱うことを、非公式なガイダンスではなく拘束力のある規則として明文化するものだと確認されている。

トランプ大統領、CLARITY法の可決を議会に迫る
Wu Blockchainの報道によれば、トランプ大統領はテクノロジー業界のリーダーらを集めたホワイトハウスでのイベントで、議会は「公正な内容の」CLARITY法を可決すべきだと述べ、政権はブロックチェーンの普及を後押しするため「プロジェクト・クリプト」を立ち上げたと語った。この圧力は微妙なタイミングでかかっている。上院は夏季休会明けまで採決を先送りしており、9月15日のセッションは最終可決の採決ではなく審議入りの動議に対するクローチャー(討論終結)投票にすぎず、審議を開始するだけでも60票が必要となる。
銀行業界 対 法案
法案の中身を巡る対立は一段と先鋭化している。Coin Bureauの報道によれば、シンシア・ルミス上院議員は銀行業界がCLARITY法の阻止に積極的に動いていると非難し、銀行側はGENIUS法のステーブルコイン条項の再交渉を法案支持の条件にしていると主張した上で、妥協案をまとめた交渉担当のロビイストを解任し、やり直しを求めていると指摘した。また別途、Coin Bureauは上院銀行委員会のティム・スコット委員長が「エリザベス・ウォーレン氏のチームは暗号資産をこの国から締め出したいだけだ。それだけの話だ」と発言したと報じている。民主党が100件を超える修正を要求した結果、法案の分量は当初の300ページ未満から600ページ超に膨れ上がったという。
エリザベス・ウォーレン氏のチームは暗号資産をこの国から締め出したいだけだ。それだけの話だ。
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こうした立法上の膠着状態こそが、SECとCFTCが独自に動いてきた理由にほかならない。両当局とも、最近の対応を議会の結論を待つのではなく、審議が続く間の空白を埋めるものだと位置付けている。CFTCはCLARITY法が停滞すれば独自の暗号資産規則を策定すると明言しており、この力学を象徴する動きだった。今週のイノベーション諮問委員会の会合には主要取引所やデリバティブプラットフォームの経営陣が集まり、暗号資産やAI、予測市場のルールについて意見を交わした。これは同委員会が実行に移す意思を持っていることを示す、これまでで最も明確な証拠だ。
9月に実際に問われるもの
採決の先送りにもかかわらず、業界自身の楽観論は色あせていない。リップルのCEOは最近、米国はデジタル資産に関する明確な規制枠組みにこれまでになく近づいていると述べており、これは議会そのものが膠着状態にあるとしても、今週のSECとCFTCの動きと符合する見方だ。9月15日にクローチャー投票が成立したとしても、それは審議入りを意味するだけで、法案が確定するわけではない。未解決の論点としては、大統領を含む政府高官が暗号資産の保有から利益を得ることを防ぐための倫理条項、法執行機関がマネーロンダリング対策上の抜け穴を生むと主張するデベロッパー保護条項、そしてステーブルコインの利回りに対する課税・規制の在り方が挙げられる。銀行業界は、この点があまりに緩く規定されれば、伝統的な銀行システムから1兆ドルを超える預金が流出しかねないと主張している。市場もこの状況を注視しており、法案が2026年中に成立する確率を示す予測市場のオッズは、ホワイトハウスと規制当局が並行して前進を続ける中でも、年初と比べて大きく低下している。