取引所Bitrueが、株式取引のあり方を一変させかねない規制の動きに注目を集めている。米証券取引委員会(SEC)が提案する、トークン化証券向けの「イノベーション適用除外(innovation exemption)」だ。SEC委員長ポール・アトキンス氏が主導する広範な取り組み「Project Crypto」の一環であるこの枠組みは、Apple、Tesla、Nvidiaといった上場企業のトークン化バージョンを、24時間体制かつ端株単位で、ブロックチェーンによるほぼ即時の決済とともに取引できるようにする、より軽い規制経路を新設するものだ。
アトキンス氏は4月21日、ワシントン経済クラブでの基調講演でこの構想を初めて明らかにし、「限定された枠組み」と表現した。委員会がより長期的なルールを詰めている間に、市場参加者がトークン化証券のオンチェーン取引を先行して開始できるようにする狙いだという。提案の内容によれば、この適用除外は12〜36か月間の規制サンドボックスとして機能し、出来高上限やホワイトリスト登録要件、当局への定期報告を条件に、企業がSECへの完全な登録なしにトークン化証券を発行・取引できるようにするものとなる。
トレーダーにとって何が変わるのか
この枠組みの下では、暗号資産取引所はフルのブローカーディーラーや取引所ライセンスを取得しなくてもトークン化株式を上場できるようになり、取引も米国株式市場が数十年にわたり定めてきた午前9時30分から午後4時までの取引時間の外で継続できるようになる。ただしその代償として、適用除外のもとで発行されたトークン化株式は、議決権や配当といった伝統的な株主権利を明確に除外し、完全な株式所有というよりも値動きを追跡する商品としての性格を強めることになる。
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今回の動きは、すでに年初から積み上げられてきた土台の上に成り立っている。3月にはSECがNasdaqのルール変更を承認し、ラッセル1000構成銘柄と指数ETFのトークン化取引を認めており、より広範な適用除外の枠組みが発効する前段階として、規制当局にとっての実地テストの場となっていた。
抵抗がないわけではない
ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。SECが当初目標としていた5月18日の適用除外詳細発表は、NasdaqやNYSE、Cboeの経営陣が非公開の会合で反発したことを受けて見送られた。取引所レベルでの登録を企業が完全に迂回できてしまう枠組みへの警戒感が背景にある。NYSEの親会社であるインターコンチネンタル取引所は、これに対抗する形で24時間365日の株式・ETF取引・決済向けの独自トークン化プラットフォームの構築を進めており、既存の大手取引所も暗号資産ネイティブなプラットフォームにこの領域を明け渡すよりは、オンチェーンで競争を仕掛ける道を選ぼうとしていることがうかがえる。