トランプ大統領は中間選挙を前に打ち出せる政策的な成果を模索しており、その選択肢の一つとして浮上しているのが、キャピタルゲイン税をインフレに連動させる「インデックス化」だとBloombergが報じた。この案は、資産の取得コストを保有期間中の累積インフレ分だけ引き上げるというもので、課税対象を名目上の値上がり益全体ではなく、インフレ調整後の実質的な値上がり益に限定する仕組みだ。あわせて、一定の住宅売却に対する新たな非課税措置を設ける案も検討されているという。

具体例で考えてみる。ある投資家が10万ドルで株式を購入し、その後名目上の利益を得て売却したとする。インデックス化が導入されれば、保有期間中のインフレ率を上回った部分についてのみ課税されることになる。インフレ率が高かった期間に長く保有していた資産ほど、課税対象額が大幅に縮小する可能性がある。

Hand holding a small electronic music device.
Photo by Egor Komarov on Unsplash

議会を通さずに進められる道

この案が典型的な減税案と一線を画すのは、その実現手段にある。キャピタルゲインのインデックス化は、新法の制定によってではなく財務省の規則によって進められてきた歴史があり、トランプ政権1期目も同じ一方的な手法を検討したことがある。Bloombergの報道で引用された法律専門家によれば、この手法は法廷闘争に直面する可能性が高いという。議会を経ずにキャピタルゲインをインデックス化することの法的な耐久性は、これまで一度も本格的に検証されたことがないためだ。

関連記事: GSR幹部、仮想通貨の本格反発にはAI設備投資の減速とFRB利下げが必要と指摘

膨らむ財政赤字を背景に

タイミングとしては、財政面からすると政治的にやや気まずいものがある。議会予算局(CBO)の試算では、2026年の最初の10カ月だけで連邦財政赤字はおよそ1兆8,000億ドルに達しており、この状況を踏まえると議員の間でもさらなる減税に対する評価は割れている。市場にとって、キャピタルゲインのインデックス化は、複数のインフレの年を乗り越えて保有を続けてきた仮想通貨投資家を含む、値上がりした資産の長期保有者にとって直接的な追い風になる。ただし、財務省単独での実施をめぐる法的な不確実性を考えると、その恩恵は確定した法律としてではなく、訴訟リスクを伴った形でしか届かない可能性が高い。こうした追い風は、すでに過熱気味となっている長期性リスク資産市場に重なる格好となる。株価が上昇を続ける中でもインサイダーが株式を現金化し続けているという、同じ市場環境の延長線上にある動きだ。