暗号資産市場は8月22日、2025年10月10日以来最も急激なフラッシュクラッシュに見舞われた。わずか6分の間に、時価総額にしておよそ1,080億ドルが吹き飛んだ計算になる。ビットコインは約2.5%、イーサリアムは5%下落し、ソラナは11.5%の急落、XRPに至っては一時37%も値を崩したあとで持ち直した。この急変動でレバレッジポジションの強制清算が相次ぎ、前後24時間で28万3,000人超のトレーダーが影響を受けた。

タイミングの巡り合わせが皮肉な形になった。テレビ司会者のジム・クレイマー氏が視聴者からの電話に対して「とにかくビットコインを買え」と答えた、まさにその直後にこの急落が起きたのだ。あまりに符合したため、トレーダーの間ではすぐさま「インバース・クレイマー」——クレイマー氏がテレビで発した相場観と逆の結果になりやすいという、長く語り継がれてきた市場のジンクス——という言葉が飛び交った。もっとも、同氏の発言とその後の急落との間に因果関係を認めたアナリストは誰もいない。

Crypto's Biggest Flash Crash Since October Wipes $108B in Minutes
Image via @coinbureau on X

72時間で崩れた10カ月のレンジ

今回の急落は前触れなく起きたわけではない。ビットコインはおよそ10カ月にわたって狭いレンジに閉じ込められており、直前の月曜日時点でもなお6万3,000ドル近辺で取引されていた。そこへ48時間以内に3つの材料が重なった。米財務省が国債の買い戻しプログラムを倍増させたこと、トランプ大統領がホワイトハウスで暗号資産サミットを開催したこと、そしてCFTCが業界に対してより友好的な姿勢を示したことだ。この組み合わせによってビットコインは5日間でほぼ30%も急騰し、一時約7万9,500ドルまで値を上げ、27億ドル相当のショートポジションを一掃した。ところが22日のフラッシュクラッシュで圧力は一転してロング側にのしかかり、価格は安値で7万7,000ドルを割り込んだ。

清算データが示す両サイドの巻き戻し

CoinGlassの清算トラッカーのデータを見ると、被害は当初の見出しが伝えていたよりも両サイドに均等に及んでいたことが分かる。24時間の世界全体の清算額は16.75億ドルに達し、ロングとショートそれぞれの損失は8.58億ドルと8.16億ドルとほぼ拮抗していた。最も急激だった1時間だけを見ると清算額は5.23億ドルにのぼり、うちロングポジションが4.48億ドルを占めた。個別の清算としては、Hyperliquid上のBTC-USDポジションにおける2,496万ドルが最大だった。

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この乱高下は、今年に入ってビットコインのショートスクイーズ相場が急反転し、ロングポジション4.77億ドルが消失した局面を思い起こさせる。急速な一方向への値動きが逆転し、直前まで居心地よく構えていた側が痛手を負う、というパターンが繰り返されている格好だ。

年間を通じてほとんどの期間、狭いレンジに押し込められてきた市場にとって、この1週間はレバレッジがいかに素早く上昇相場を暴落に変え、そしてまた反転させ得るかを思い知らされる出来事だった。直前5営業日でビットコインETFにおよそ19億ドルが流入していたことを踏まえれば、機関投資家の需要が消えたわけではない。しかし今回のフラッシュクラッシュは、スクイーズの過程で積み上がったポジションが、下落局面でも同じように脆弱であることをはっきりと示した。