世界最大の上場ビットコインマイナーであるMARAが、2026年上半期に約23,093BTCを16億3,000万ドルで売却したと開示した。1枚あたりの平均売却価格は約70,631ドルだった。同社は現在も35,577BTC(現在価格で約23億ドル相当)を保有しており、財務のかなりの部分を売却しつつも、完全な手放しには至っていない。
この開示の規模そのものが注目に値する。MARAは長らく「すべて保有し続ける」財務戦略を掲げる代表的な上場マイナーの一社と見なされてきただけに、これほどの規模の売却は、バランスシートの管理方針における大きな転換を意味する。
資金の行き先はAIインフラ
MARA自身のSEC提出書類によれば、同社は年初のビットコイン価格下落を受けてこれらの売却を実行したとしており、これとは別に、「AI関連の取り組み、および関連する重要なITとHPC(高性能コンピューティング)の機会へ経営資源を再配分するという戦略的判断」を反映した2026年のリストラ計画も開示している。つまり売却代金は単なる運営費の穴埋めではなく、AIと高性能コンピューティングインフラへの転換そのものを支える資金であり、他の大手マイナーですでに進んでいる流れと重なるものだ。
マイナー業界に広がる共通のパターン
こうした動きをとっているのはMARAだけではない。Bitdeerは2月に保有ビットコインをすべて手放す一方、47億ドル規模のノルウェーでのリース契約を通じてAIホスティング事業へと多角化を進めた。またオンチェーンデータからは、今年に入って戦略関連ウォレットからも同様の売却が繰り返し検知されている。業界全体を見渡すと、長年「長期保有者」として自らを位置づけてきたマイナーたちが、コイン準備を無期限に守り抜くべき資産としてではなく、次のインフラ投資フェーズを賄うための財源として扱う傾向を強めている。
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この流れはマイニング企業に限った話ではない。今年は複数の企業財務が、無関係な資本ニーズを賄うためにビットコイン保有を削っており、業界が対外的に語る「長期蓄積」というレトリックは、その裏にある実際のバランスシート判断ほどには変化していない。
それでも35,577BTCを依然として保有しているMARAは、今回の売却後も最大級の企業ビットコイン保有者の一つであり続ける。今回の開示は、これまでポジションを築いてきた戦略からの完全な撤退というより、そのペースの変化を示すものだと言える。