中国当局が、国内の株式・債券市場(合計28兆ドル規模)からより多くの資金を人工知能分野へ流し込むべく、金融ルールの見直しを進めている。AIおよびチップの自給自足に取り組む企業に対して、IPOの迅速化や債券発行、銀行融資への道を広げる狙いだ。
この転換はすでに具体的な成果として表れている。メモリー半導体メーカーのCXMT(旧チャンシン・メモリー・テクノロジーズ)は、上場初日の取引をIPO価格比466%高で終え、579億2,000万元(約86億ドル)を調達した。これは中国本土の半導体銘柄としては過去最大規模の資金調達となる。この上場によりCXMTの時価総額は約4,880億ドルに達し、中国工商銀行を上回って本土上場企業として時価総額トップに躍り出た。
申請から上場までを短縮する新制度
Bloomberg Lawの報道によれば、CXMTは新設された「事前審査」パイロット制度を初めて利用した企業だという。この制度では、正式な上場申請が提出される前の段階から規制当局が主要な論点を詰めることができ、従来ならもっと長くかかっていた申請から上場までの期間を8カ月未満に短縮した。この手続き上の近道そのものが政策的なシグナルであり、北京は戦略的なテック企業の上場スピードを、単なる規制上の形式ではなく競争力の武器として扱っていることがうかがえる。
CXMTに続くAI企業の列
CXMTは孤立した事例ではない。AI企業のZ.AIとMiniMaxは香港での上場に続いて本土上場を目指しており、Moonshot AIは投資家に対し6カ月以内の上場を計画していると伝えている。さらにDeepSeekも独自のIPOに向けた準備をすでに始めているとされる。共通するテーマは、国内チップとAIの自給自足だ。CXMTのDRAM生産は、米国の輸出規制がこの分野への制約であり続ける中で、中国の海外メモリーサプライヤーへの依存を減らす意味を持つ。
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今回の動きは、中国経済全体がまちまちのシグナルを発する中で進んでいる。政策当局が最先端技術へ資本を振り向ける一方で、物価上昇率は今年繰り返し予想を下回ってきた。消費者物価の弱さと積極的な産業向け資金供給が同時に存在するこの組み合わせは、北京がより広範な需要の自律的な回復を待つのではなく、資本市場政策を的を絞った成長のてことして使っていることを示唆している。
この事前審査パイロット制度が中国の上場制度に恒久的に組み込まれるのか、それともCXMTのような戦略的に重要な企業に限定した一過性の手段にとどまるのかは、次に控えるAI関連企業のIPOの波がどれだけ早く市場に到達するかを左右しそうだ。