NEARは、人工知能ツールの利用料を支払う新たな方法を試験導入している。クレジットカードの代わりに、ユーザーはNEARトークンをロックし、その見返りとして月次の計算クレジットを受け取ることができる。7月31日にNEARが公開した資料で詳細が示されたこのステーキング型モデルでは、保有者は従来のクラウド課金の仕組みを経由することなく、OpenAI、Anthropic、Googleが提供する43種類のホスト型AIモデルにアクセスできる。
ステーキングの仕組み
新しい仕組みでは、ユーザーは従来のクラウド課金やクレジットカード決済の代わりにNEARトークンをロックし、月次の計算クレジットを受け取る。重要な点として、このプロセスでトークン自体が消費されるわけではない。ユーザーは計算アクセスという特典を得ながらも、ステーク分の所有権を保持し続ける。これは、元本を維持したまま利回りに似たリターンを生み出す他のステーキングの仕組みと考え方が似ている。
トレードオフ:ロックされる資金と変動する価格
このモデルには、参加者にとってのデメリットがないわけではない。ロックされたトークンはコミットされている間、他の用途に自由に使うことができず、その間に市場価格も変動しうる。つまりユーザーは、AIへのアクセスと引き換えに、実質的に価格変動リスクと機会コストを負うことになる。ロック期間中にNEARの価格が急落すれば、計算クレジットの実質コストはその分上昇する。逆に価格が上昇すれば、同じアクセスに対して相対的に少ない負担で済む可能性もある。
AIインフラを軸にしたNEARの位置づけ
今回の動きは、NEARが自社のトークンとネットワークを、単なる汎用スマートコントラクト・プラットフォームとしてではなく、AIインフラを軸に位置づけようとする、より広範な戦略に合致するものだ。OpenAI、Anthropic、Googleというトップ3のAI企業のモデルへのアクセスを、単一のステーキングの仕組みの下にまとめることで、NEARは、取引手数料や投機的な取引活動だけに需要を頼るのではなく、AI計算資源への需要が、自社ネイティブトークンを保有・ロックし続ける継続的な理由になり得ることに賭けている。
まだ不明な点
NEARは発表と併せて具体的なクレジット換算レートや料金体系を公開しておらず、一定のステーク量がどれだけの計算クレジットを生み出すのか、また同じモデルへのAPIアクセスに直接料金を支払う場合と比較してどうなのかという点は不明なままだ。これらの詳細が明らかになることで、このステーキング方式がヘビーユーザーにとって従来の課金方式よりもコスト効率が良いのか、それとも主にユーティリティ機能を装ったトークン需要創出の仕組みとして機能するに過ぎないのかが判断できるようになるだろう。