ドイツの裁判所が、著作権で保護された素材を学習に用いるAI企業に対し、またも法的な打撃を与えた。ミュンヘン地方裁判所は7月31日、AI楽曲生成サービスのSunoが、ドイツの著作権管理団体GEMAのカタログに含まれる楽曲を無許諾で使用し、著作権法に違反したと判断した。裁判所は、Sunoが保護対象の楽曲でモデルを学習させたことと、許諾なくそれらを複製したことの両方を認定した。
ミュンヘン裁判所が認定した内容
訴訟の争点となったのは、1970年代から1990年代にかけて作られた6曲の楽曲だった。GEMAは、これらの楽曲がSunoのAIモデルの学習と、オリジナルを彷彿とさせる出力の生成の両方に無許諾で使用されたと主張していた。今回の判決により、ドイツで事業を行うAI企業は、権利者の楽曲カタログを用いた学習と、そこから派生した新たな素材の生成という両方の段階について、フェアユース的な理屈で免責されるとみなすのではなく、ライセンスを取得することが求められることになる。
流出した学習データの規模
訴訟で提出された証拠には、Sunoの学習パイプラインの規模を詳細に示す流出ソースコードが含まれていた。それによると、YouTube Musicから抽出された11万3,000時間超の音声データに加え、ストック素材プラットフォームのPond5から6万2,000時間分、ストリーミングサービスのDeezerから1万2,000時間分のデータが使用されていた。このデータセットの規模の大きさが、裁判所が必要だったとするライセンスを得ないまま著作権で保護された素材が大量に取り込まれていたことを立証する上で、重要な論点となった。
Sunoの反応
Sunoは自社技術の性質づけに反論し、「我々は既存の楽曲を複製するのではなく、新しい楽曲を作り出すためにモデルを学習させた」と主張した。同社は現在、控訴を含む「あらゆる選択肢」を検討していると表明しており、今回の判決がこの争いの最終結論とはならない可能性を示唆している。
Sunoは「我々は既存の楽曲を複製するのではなく、新しい楽曲を作り出すためにモデルを学習させた」と述べ、控訴を含む「あらゆる選択肢」を検討していると表明した。
欧州で広がるパターンの一部
今回の判決は、その約8カ月前にGEMAがOpenAIに対して勝訴した事案に続くものだ。その際、ミュンヘンの裁判所は、ChatGPTが著作権で保護された楽曲の歌詞を違法に複製したと認定していた。この2つの判決は合わせて、著作権で保護された創作物をAI企業が無償の学習素材として扱うことはできないという、ドイツの裁判所の一貫した姿勢を示すものであり、権利者が立法の追いつきを待つのではなく、訴訟を通じてAI開発企業とのライセンス交渉を実現させることに成功している法域のリストに、ドイツを加えることになった。
ドイツ国外への意味合い
EU全域で事業を展開するAI企業にとって、今回の判決は、現地の著作権管理団体とのライセンス契約を事前に確保しないまま新市場に進出することのリスクを高めるものとなる。OpenAIとSunoに対する連続勝訴によって、GEMAは他の欧州の著作権管理団体が追随しうるひな形を手にしたことになり、Web3や暗号資産メディアに隣接するツールを構築する企業を含め、AI企業が新たな地域で事業を開始する前にコンテンツのライセンス取得にどう取り組むかを、今後変えていく可能性がある。