ザ・サンドボックスは、Base・BNBスマートチェーン上でのSANDトークンのクロスチェーンブリッジ機能を無効化した。攻撃者が侵害されたブリッジ権限を悪用し、数十億ドル相当の裏付けのないトークンを不正に発行したことを受けた措置だ。このメタバースプロジェクトは、脆弱性はすでに完全に封じ込められており、イーサリアム上で正規のSANDを裏付けているロック資金には手が付けられていないとしている。

セキュリティ企業のBlockaidが、Baseにデプロイされているサンドの契約で異常なミント活動を最初に検知し、公に警告を発した。エクスプロイトが封じ込められるまでのおよそ5時間の間に、オンチェーンのトラッカーは400件を超える取引にわたって、額面ベースで約490億ドル相当のSANDが不正発行されたと記録した。もっともこの数字は、実際の被害額を大きく過大に見せるものだという。

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ブリッジが侵害された経緯

SANDのクロスチェーン展開は、LayerZeroのOmnichain Fungible Token標準を基盤にしている。この標準では「デリゲート」と呼ばれるアドレスがブリッジ設定に対する管理権限を握っており、トークン契約への特権的な呼び出しを承認する力もそこに含まれる。LayerZero自身のアーキテクチャでは、このデリゲートを掌握することは事実上ブリッジそのものを掌握することに等しく、一度侵害されれば、攻撃者はイーサリアム上で対応するSANDを実際に焼却することなく、デスティネーションチェーン側で好きなだけミントできてしまう。今回のエクスプロイトを追跡していた関係者によれば、攻撃者はERC-20のユーティリティ関数approveAndCallを通じてデリゲートを乗っ取り、その権限を使ってBase上で自由にミントを行った。ネットワークのマルチシグが侵害されたピア接続を切断するまで、その状態が続いたという。

見出しの数字を大きく下回る実害

目を引く490億ドルというミント額とは裏腹に、ザ・サンドボックスによれば実際に流出した額はおよそ1,475万SAND、日本円換算で約67万5,000ドル相当にとどまるという。加えて、エクスプロイトが封じ込められる前に流動性から抜き取られたETHが約80枚あった。同社の試算では、影響を受けたのはSANDの総供給量30億の0.01%未満で、ユーザーのウォレットが侵害されたケースはなかったとしている。イーサリアムとポリゴン上のSANDは一切影響を受けておらず、正規にブリッジされたすべてのSANDを裏付ける準備金も完全に無傷のままだ。

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ブリッジ機能を停止している間、ザ・サンドボックスはユーザーに対し、BaseまたはBNBスマートチェーン上でのSANDの売買や流動性提供を控えるよう呼びかけている。同社は攻撃前の残高スナップショットを取得しており、ブリッジが再開され次第、不正発行に巻き込まれた流動性提供者への補償を検討する方針だという。ビットマートはエクスプロイトが報告されてから数分以内にSANDの入出金を停止し、続いてアップビットも同様の対応を取った。クロスチェーンのインシデントが起きるたびに取引所が即座に取る、いまや定番の反応と言える。

今回の一件は、業界全体でブリッジのセキュリティが厳しい局面に置かれていることを改めて示す出来事となった。これは、BounceBitが300万ドル相当のエクスプロイトを受けて自前のブロックチェーンを放棄したという別の事件のすぐ後に起きたものであり、しかもBNBチェーン自体もブリッジのバリデーターの脆弱性を修正するハードフォークの出荷を控えているタイミングと重なる。今年の暗号資産セキュリティ関連の投資の多くが、チェーンそのものよりも、チェーン同士をつなぐ結合組織のような部分に注ぎ込まれていることを浮き彫りにするような巡り合わせだ。