英国歳入関税庁(HMRC)は、2025/26会計年度に、納税不足が疑われる暗号資産保有者に対して8万1000件を超える警告の手紙・メール・テキストメッセージを送付した。情報公開請求(FOI)で明らかになったもので、前年度に送付された2万7714件からほぼ3倍に増加した計算になる。

これらの通知は、暗号資産を売却・交換・贈与した場合だけでなく、暗号資産で商品を購入した場合にも英国のキャピタルゲイン税(譲渡益課税)の対象となりうることを、法定通貨への現金化に限らず改めて注意喚起するものだ。違反した場合のペナルティは追徴税額の最大100%に利息が加算されるほか、資金がオフショアに移転されているケースではさらに重い罰則が科される。

UK Tax Authority Triples Crypto Warning Letters to Over 81,000
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今回の増加の背景には2022年から2025年にかけての強気相場がある。この期間に多くの暗号資産保有者が利益を確定させたが、HMRCはその大半が申告されていないとみている。FOIデータを入手したUHY Hacker Youngのパートナー、ニーラ・チャウハン氏は、この取り締まり強化が投資家の不意を突く形になっていると指摘する。「トレーダーの多くは若く、これまでHMRCとの接点がほとんどなかったため、HMRCは自分たちの活動をほとんど把握していないという思い込みで動いていることが多い」と同氏は語った。

さらなる締め付けが控えている

今回の一連の警告書は、まだ序章に過ぎない。HMRCの公式ガイダンスでは、暗号資産の処分がどのような場合に課税対象となるかがすでに規定されているが、同庁は来年、オフショアの暗号資産事業者に対して顧客情報の直接開示を義務付ける新たな権限を獲得する見通しで、当局はこの措置により2030年までに3億1500万ポンドの税収増が見込めると試算している。

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世界的な規制強化の流れの一部

英国の取り締まり強化は、規制当局がガイダンスの提示から執行の段階へと軸足を移す、より広範な潮流を映し出している。米SECも同様に、トークン発行に関するルールをより明確にすることを狙った新たな規制枠組み「Regulation Crypto Assets」を提案しており、主要な規制当局の間で、暗号資産のコンプライアンスをグレーゾーンとしてではなく、既存の税制や証券法の枠組みを単純に適用すべき対象として扱う動きが広がっていることを示す一例といえる。

この強気相場を通じて利益を得ながら申告してこなかった英国の保有者にとって、HMRCが発したメッセージはもはや曖昧さの余地がない。今後も警告書は届き続け、オフショアの活動に対する当局の把握力もさらに強化されていく見通しだ。