ステーブルコインは、投機的な取引道具から日々の決済習慣へと静かにその立ち位置を変えつつある。Whale Insiderの報告によると、2026年7月の暗号資産カード決済額は10億ドルに達し、日常的な購入の70%以上をステーブルコインが支えているという。このタイミングは、Circle CEOのジェレミー・アレール氏が8月19日の投資家向けAMAで語った内容とも符合する。同氏は、ステーブルコインがデジタル資産市場から実体経済の金融へと軸足を移し、単なる取引の担保としてではなく、実際の決済上の課題をすでに解決し始めていると述べた。
投機から「日々の買い物」へ
実際の決済データもアレール氏の見立てを裏付けている。カード決済量は7月に実に3倍となる約10億4,000万ドルまで拡大し、平均取引額も前年の59ドルから86ドルへと上昇した。これは、暗号資産を一括で現金化するような大口の取引ではなく、頻繁で少額な消費者向け決済への移行を示している。この行動の変化が最も顕著に表れているのがラテンアメリカだ。ブラジルのアクティブユーザーは月20回の取引でおよそ400ドルを使い、そのうち食料品が全体の約35%を占める。アルゼンチンでも食料品が取引の41%を占め、決済の72%はUSDT経由だった。
Circle CEO「これこそ実世界でのユースケース」
アレール氏の発言は、Circleの2026年第2四半期決算を踏まえたものでもある。同四半期の売上高は前年同期比6.6%増の約7億130万ドルとなった一方、1株当たり利益は0.18ドルと市場予想の0.26ドルには届かなかった。USDCの流通量は前年比19%増の733億ドルに拡大しており、今回のカード決済データが示す日常利用の伸びは、Circleにとってまさに直接的な利害が絡む話でもある。USDCがウォレットの中で眠っているのではなく食料品のレジで使われるたびに、Circleは準備資産の運用益を得続けられるからだ。
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ステーブルコイン間シェアはUSDCが優勢に
成長率の数字の裏では、カード決済内でのシェアにも顕著な変化が起きている。USDCは7月のカード決済量の50.8%を占め、前年の約48%から拡大した。一方でUSDTのシェアは約7%からほぼ3倍の20.3%へと伸び、他のステーブルコインを押しのける形になっている。カード発行体が流動性の深さと決済の摩擦の少なさを基準にステーブルコインを選ぶ傾向が強まるなか、日常決済の取扱高が伸びるほど、USDCとUSDTへのこの二極集中はさらに強まっていきそうだ。