Term Labsが、プロトコルのボールト(金庫)に関わるガバナンス脆弱性を突かれ、約850万ドル相当を攻撃者に奪われた。流出額の内訳は約2,843ETH(約687万ドル相当)と、168万USDCに上る。
ブロックチェーンセキュリティ企業のPeckShieldがこの攻撃を特定し、攻撃者のウォレットへの当初の資金供給元をTornado Cashまで遡って追跡した。Tornado Cashは制裁対象となっている暗号資産ミキサーで、攻撃者が攻撃実行前に資金の出所を隠すためによく利用されている。Term Labsは事案の発生を確認しているが、本稿執筆時点では、対応スケジュールや被害を受けた預金者への補償方針については詳細を明らかにしていない。
繰り返される弱点はコードではなくガバナンス
Term Labsの事案は、2026年のDeFiエクスプロイトの多くを特徴づけてきたパターンに当てはまる。単純なスマートコントラクトのバグではなく、プロトコルのガバナンス構造の弱点を経由する攻撃だ。今年最大級のエクスプロイト2件も、同じ論理をたどっている。4月に発生したSolana上のDrift Protocolからの約2億8,500万ドル流出は、コードの欠陥ではなく、攻撃者がクオンツ系トレーディングファームを装ってコントリビューターと対面で関係を構築し、最終的にプロトコルのセキュリティカウンシルから事前署名済みの承認を引き出したことに起因していた。その数日後には、Kelp DAOがクロスチェーン検証システムに情報を送るRPCノードを侵害され、虚偽のメッセージを承認させられたことで、約2億9,200万ドルを失っている。
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被害額は小さいが、失敗の構造は同じ
金額としては850万ドルというTerm Labsのエクスプロイトは、上記2件よりはるかに小規模だが、教訓としては同じことを裏付けている。DeFiプロトコルがスマートコントラクトのコードを直接的な攻撃に対して強化していくにつれ、攻撃者はそのコードを取り巻くガバナンスや権限付与のレイヤーを狙う方が容易だと気づきつつあるということだ。2026年の他のボールト関連エクスプロイト、たとえば7月にイーサリアムメインネット上のUSDCボールト群からシェア価格を操作して約600万ドルを引き出した攻撃も、暗号技術そのものを破るのではなく、プロトコルのロジックと権限を突くという同じテーマに沿っている。
預金者にとって次に起こること
PeckShieldによるフォレンジック追跡がすでに公開されており、攻撃用ウォレットのTornado Cash経由の資金調達も記録に残っていることから、Term Labsはオンチェーン調査と交渉による資金回収の両面で、今年の他のガバナンス関連エクスプロイトで確立されてきた一連の対応策をたどることになりそうだ。とはいえ、それらの事案における回収結果はさまざまで、トレジャリー資金による部分的な補填から、預金者がそのまま損失を被るケースまで幅がある。